農地の定義について
「農地とは何ですか?」と聞かれたら、あなたはどう答えますか?
見た目が田んぼや畑なら農地だと答える方がほとんどではないかと思います。
しかし、それは正確な答えではありません。
では、農地とは一体何なのでしょうか。
今回は、農地の定義について見て行きましょう。
農地の定義
以上が農地法に定められている農地の定義となります。
法律が関係すると専門用語があるために何のことか分かったようで、実は良く分かりませんね。
簡単に言いますと、「農地」とは、土地の現況が、きちんと耕作を行って作物を栽培している土地、又は、いつでも耕作できる状態の休耕地等であり、かつ、農業委員会の農地台帳に登録されている土地のことです。
ここでのポイントは、現況が耕作地であるかと、農業委員会の農地台帳に登録されているかどうかです。
良くある質問で、登記の地目が「田」や「畑」だから農地ですか?というものがあります。
登記の地目だけでは農地とは判断できませんので、まずは農地台帳を確認してみましょう。登記が田や畑でも現況が宅地等の場合はそもそも農地ではありませんので現況も併せて確認してみましょう。とお答えしています。
他にも、農業経営者(農家)ではないのですが、面積の広い雑種地を所有していて固定資産税が高いので、畑にすることで固定資産税を安くできませんか?という質問もあります。
結論から言いますと、それはできません。という回答になります。
登記自体は現況主義の為、現況が畑になると雑種地から畑に地目変更登記できる可能性があります。
ただし、地目が畑になっても、農業委員会の農地台帳に登録されていないと、固定資産税の農地評価を受けることができません。
農地台帳に登録される為には、農家の資格がないといけませんが、新規に農家資格を得る為には、農業委員会に「認定申請書」や「営農計画書」、「資金計画」などを提出し、許可を得なければなりません。
更に、農地を3,000平方メートル(3反)以上所有するか借りないといけません。
固定資産税を安くするためだけに新規で農家になる方はおられないと思いますので、現実的ではありませんね。
食料自給率を維持する為に、国策で農地の税制を優遇していますので、農地の定義に当てはまらない田や畑等の場合には固定資産税は安くならないのです。
農地を相続する前に何をしておいたら良いのでしょうか
農地の相続を予定されている方から、相続前に何をしておいたら良いですか?という相談を受けることが多いです。
最初にすべきことは、農地の全体像を正確に把握することです。
では、農地の全体像を把握するためには何を調査すれば良いのでしょうか?
今回は、農地の調査項目について見て行きましょう。
農地の相続前に調査する事項
主なものを挙げてみてもたくさんありますね。
上記の調査事項は、それぞれ相続前に確認すべき理由がありますので、必ずご確認されることをお勧めします。
一つ一つ解説すると大変な分量になってしまいますので、詳しくお知りになりたい方は、こちらの生産緑地と都市農地の相続対策準備まとめをご参照ください。
特に、市街化区域内(都市部や都市部近郊で周辺に住宅等が立ち並んでいる地域)の農地の場合、詳しく調査する必要があります。
なぜかと言いますと、市街化区域内の都市部農地を相続する場合、相続人(農地を継ぐ方)が農業経営される予定が無い場合にはかなり高額の相続税が課税されます。
しかも、高額な相続税を相続発生後10か月以内に現金で納税しなければなりません。
また、相続人が農業経営を継承される場合、終身営農(お亡くなりになるまで農業経営を継続する)義務と引き換えに相続税の納税を猶予する制度(納税猶予)の利用の有無も検討しなければなりません。
都市部農地を相続される場合には、相続人が農業経営を継承するか否かにかかわらず、事前に農地の全体像を把握することはもちろんのこと、その他にも事前の対策や準備が必要となります。
農地の相続には普段なじみのない農地法、生産緑地法、税法、民法、都市計画法等が関係してきますので、必ず農地の相続に詳しい専門家にご相談されることをお勧めしております。
京都、滋賀、大阪で都市部農地の相続のご相談がございましたら、農地相続コンサルタントの小林まで何なりとお気軽にお問い合わせください!
都市部農地の相続を満足に導くプロ 資産全体を見渡し、農地の相続を一からコンサルティング
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農業従事者の減少と高齢化 外国人の雇用が特効薬となるか
6月16日に改正国家戦略特区法案が成立しました。
政府の成長戦略の柱であり、地域を限って大胆な規制緩和を行う国家戦略特区内において、改正法案施行後は、適切な管理の下、農業分野の専門的な技能等を有する外国人の就労が可能となります。
その大まかな中身ですが、母国の大学の農業系学部を卒業したり、日本の技能実習を終えたりした外国人を最長3〜5年受け入れる内容です。
一定の日本語能力を条件に、雇用主には日本人と同等以上の報酬の支払いが義務付けられるようです。
入管法の関係で、5年以内に一旦帰国する必要があります。
農業に従事する人数は、2016年2月に317万人となっており、10年前に比べて208万人(約40%)も減少しています。
更に、そのうち65歳以上が占める割合は38%から47%に上昇し、人手不足と高齢化が深刻化しています。
今回の改正国家戦略特区法案では、農業分野の若年労働者の減少を補い、農業振興につなげる狙いがあります。
新しい取り組みですので、今後どうなるかは分かりませんが、人手不足の解消にはある程度役に立つのではないでしょうか。
ただし、日本語と日本文化を理解しない、質の低い外国人単純労働者が増えないように、しっかり制度運用して頂きたいですね。
「民泊」は空き家問題の救世主? それとも住環境を悪化させる悪者?
住宅に有料で客を泊める「民泊」の営業基準や罰則等を定めた住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)が6月9日に国会で成立しました。
早ければ、2018年1月に施行される予定です。
これまでは、有料で住宅に宿泊させる為には、旅館業法の規定による簡易宿所の許可を得なければなりませんでした。
新しく成立した民泊新法では、従来の旅館業法の許可は不要であり、都道府県知事へ届出することで、これまで旅館業法の許可が下りなかった住居専用地域でも民泊を開業することが可能となります。
民泊は、旅館業法による簡易宿所に比べて届出だけで非常に簡単に開業できますが、旅館業法との兼ね合いもあり、年間営業日数は180日を上限とし、都道府県や政令指定都市などが地域の実情に応じ、条例で営業可能日数やその他の規制を制限することができます。
全国的に都市部でも空き家件数が増加して頭の痛い問題でしたが、空き家を減らす解決策の一つとして民泊による空き家の活用が注目されています。
住居専用地域の貸家が借り手が見つからずに長期間空き家となっている場合、所有者の選択肢が増えることになります。
これまで簡易宿所の許可を得る為には、専門家への申請手続き代行費や必要な設備工事費等の初期投資が、少なくても数十万円以上(物件の規模等により異なります)必要でしたが、民泊の場合はそのような初期投資はほとんど必要なくなりそうです。
普通に貸家として貸すよりも民泊の方が高い収益を生む可能性もあります。
空き家の活用に悩んでいる方にとって、民泊新法の成立は朗報ですね。
その一方で、許可を得ていない違法民泊はもちろんのこと、許可を得た簡易宿所の一部でも、近隣住民や地域とのトラブルが多発して社会問題化してきています。
私は、地域のまちづくり委員会に参加させて頂いておりますが、その会議でも簡易宿所や民泊の問題が主な議題となることが多いです。
近隣トラブルの主なものは、ゴミの出し方が悪い。タバコのポイ捨て。深夜まで大声で騒ぐ。深夜や早朝のキャリーバッグの騒音。深夜に宿泊施設の場所が分からない外国人にインターホンを鳴らされる。誰が管理しているか不明で施設の管理者と連絡が取れない。等があります。
簡易宿所や民泊施設に対する防災面や治安面での不安を払拭し、いかに宿泊施設と地域が調和して共存共栄していけるか、議論を交わし知恵を出して行かなければならないと思います。
放置されていた空き家が、良質な簡易宿所や民泊となって地域が活性化できれば、空き家所有者にとっても地域にとっても良い結果を生むのではないでしょうか。
その為にも、宿泊施設の所有者や管理者の方たちには、是非町内会に加入して頂いて、顔が見える信頼関係を地域や近隣住民の方々と築いて行って頂きたいですね。
生産緑地の
京都・大阪・奈良の生産緑地をお持ちの方は、まず危険度をチェック!相続対策への第一歩を踏み出してください。 |
特定生産緑地に指定する・
多くの生産緑地についてアドバイスしてきた、コンサルタント集団が、「特定生産緑地に指定する・指定しない」をシミュレーション診断いたします。 |