京都・大阪・奈良に多い、放っておくとトラブルになりやすい、生産緑地を相続する人のための、相続対策と準備のノウハウをまとめました。

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  1. 農地コンサルタントが見た、生産緑地の相続対策ブログ
 

農地コンサルタントが見た、生産緑地の相続対策ブログ

2017/07/26

相続後の賃料収入を誰が受け取るべきか

 

今回は、収益不動産を所有されておられる方向けの内容です。

相続財産の中に収益不動産(賃貸マンション・テナントビル・駐車場・貸家・貸土地等)がある場合、被相続人(相続される人)の死亡後も当然賃料収入が発生します。

相続開始後から遺産分割が完了するまでの間の賃料は、被相続人死亡後に発生したものですので遺産には含まれません。

では、賃料収入は誰が受け取るべきなのでしょうか?

遺言書があり、収益物件の遺産分割について記載がある場合と遺言書が無い場合のケースに分けて見て行きましょう。

 

遺言書ありのケース

遺言書に記載された遺産分割方法に従って賃料受取人が決定します。

例えば、遺言書に「賃貸マンションAは長男が、賃貸マンションBは次男が相続する。」と記載されていて遺言書が有効なものである場合、賃料収入の受取人は、賃貸マンションA=長男、賃貸マンションB=次男となります。

 

遺言書なしのケース

賃料の受取人が誰なのか問題になるのはこちらのケースです。

遺言書が無い場合には、相続人全員の遺産分割協議により遺産を相続する人を決定します。

平成17年9月8日の最高裁判決によると、相続開始から遺産分割完了までの間の賃料は、共同相続人の相続分(民法で定められた法定相続分割合)で取得する。とされています。

 

例えば、相続人が3人(母・長男・次男)で、賃貸マンションA(賃料月額50万円)、賃貸マンションB(賃料月額30万円)の場合、賃料収入は以下のように受け取ります。

(賃料の受取方法)

相続開始が1月1日、遺産分割完了が同年の7月1日の場合、賃料月額80万円×6か月=480万円を分配します。

母 :480万円×相続分2分の1=240万円

長男:480万円×相続分4分の1=120万円

次男:480万円×相続分4分の1=120万円

 

もう一つ問題なのが、法定相続分割合とは異なる内容で遺産分割された場合です。

例えば、上記のケースで考えますと、遺産分割協議では母が賃貸マンションA・B共に取得することになった場合、長男と次男は受取済みの賃料120万円ずつを母に返さないといけないのでしょうか?

そんな場合でも、遺産分割の結果が相続開始後から遺産分割が完了するまでの間の賃料には遡及しないという最高裁の判例がありますので、賃料120万円を母に返す必要はありません。

 

相続開始後の賃料を誰が受け取るかについてはご説明の通りですが、相続人間のトラブルを避ける為に、特に収益物件を所有しておられる方には、前もって遺言書を作成されることをお勧めしております。


2017/07/19

農林水産省発表の最新統計データに注目

農林水産省が6月30日に平成29年の農業構造動態調査結果を発表しました。

この調査結果の中でも農業経営者の高齢化を表す統計データに注目してみました。

仕事として自営農業に主として従事した人の数は、150万7,100人で、前年比7万9,000人(5.0%)減少しています。

年齢階層別に見ると、65〜69歳の階層以外の全てが減少しています。

65〜69歳の階層は、37万2,700人で前年比5万3,800人(16.9%)増加しています。

 

(出典 農林水産省平成29年農業構造動態調査結果)

 

上記の統計表より、年齢階層別の構成比で見ると、49歳以下10.5%、50〜59歳10.5%、60〜64歳12.6%、65〜69歳24.7%、70〜74歳13.9%、75歳以上27.7%となっています。

労働力の中心である65歳未満を合計しても33.6%と全農業経営者の3分の1にしかなりません。

農業経営者のうち65歳以上が実に3分の2を占めていますので、高齢化の進行はかなり深刻ですね。

近い将来、体力の衰えによる引退や相続により農業経営を次の世代に承継される農家の数は益々増加していきます。

同時に、次の世代が農業経営を継がない農家の数も相当増えることでしょう。

 

特に都市部近郊の農家におかれましては、生産緑地解除の問題(いわゆる2022年問題)をどう乗り越えるのか?農業経営の事業承継をどうするのか?前もって良くご検討して頂き、最善の選択をして頂きたいと願っております。

2022年問題にどう取り組むべきか。農業経営を事業承継するべきか、しないべきか。明確な答えを出せず悩んでおられる場合には、農地相続コンサルタントの私 小林まで何なりとお気軽にご相談ください。


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2017/07/12

農地の定義について

「農地とは何ですか?」と聞かれたら、あなたはどう答えますか?

見た目が田んぼや畑なら農地だと答える方がほとんどではないかと思います。

しかし、それは正確な答えではありません。

では、農地とは一体何なのでしょうか。

今回は、農地の定義について見て行きましょう。

 

農地の定義

  • 耕作の目的に供される土地であること
  • 現に耕作されている土地、又は、いつでも耕作できる土地であること
  • 耕作とは土地に労費を加え肥培管理(ひばいかんり:作物を栽培するとき、施肥・水やり・中耕・土寄せ・害虫の駆除などを総合的に管理すること)を行って作物を栽培すること
  • 農業委員会の農地台帳に登録されていること

以上が農地法に定められている農地の定義となります。

法律が関係すると専門用語があるために何のことか分かったようで、実は良く分かりませんね。

簡単に言いますと、「農地」とは、土地の現況が、きちんと耕作を行って作物を栽培している土地、又は、いつでも耕作できる状態の休耕地等であり、かつ、農業委員会の農地台帳に登録されている土地のことです。

ここでのポイントは、現況が耕作地であるかと、農業委員会の農地台帳に登録されているかどうかです。

 

良くある質問で、登記の地目が「田」や「畑」だから農地ですか?というものがあります。

登記の地目だけでは農地とは判断できませんので、まずは農地台帳を確認してみましょう。登記が田や畑でも現況が宅地等の場合はそもそも農地ではありませんので現況も併せて確認してみましょう。とお答えしています。

 

他にも、農業経営者(農家)ではないのですが、面積の広い雑種地を所有していて固定資産税が高いので、畑にすることで固定資産税を安くできませんか?という質問もあります。

結論から言いますと、それはできません。という回答になります。

登記自体は現況主義の為、現況が畑になると雑種地から畑に地目変更登記できる可能性があります。

ただし、地目が畑になっても、農業委員会の農地台帳に登録されていないと、固定資産税の農地評価を受けることができません。

農地台帳に登録される為には、農家の資格がないといけませんが、新規に農家資格を得る為には、農業委員会に「認定申請書」や「営農計画書」、「資金計画」などを提出し、許可を得なければなりません。

更に、農地を3,000平方メートル(3反)以上所有するか借りないといけません。

固定資産税を安くするためだけに新規で農家になる方はおられないと思いますので、現実的ではありませんね。

食料自給率を維持する為に、国策で農地の税制を優遇していますので、農地の定義に当てはまらない田や畑等の場合には固定資産税は安くならないのです。

 


2017/07/05

農地を相続する前に何をしておいたら良いのでしょうか

 

農地の相続を予定されている方から、相続前に何をしておいたら良いですか?という相談を受けることが多いです。

最初にすべきことは、農地の全体像を正確に把握することです。

では、農地の全体像を把握するためには何を調査すれば良いのでしょうか?

今回は、農地の調査項目について見て行きましょう。

 

農地の相続前に調査する事項

  • 農地が市街化区域、市街化調整区域、区域外のどの区域に属しているか
  • 市街化区域内の農地の場合、生産緑地の指定を受けているか
  • 生産緑地の指定を受けている場合、納税猶予を受けているか
  • 主たる農業従事者は誰か
  • 賃借権、小作権、使用権の設定の有無
  • 境界確定はできているか

主なものを挙げてみてもたくさんありますね。

上記の調査事項は、それぞれ相続前に確認すべき理由がありますので、必ずご確認されることをお勧めします。

一つ一つ解説すると大変な分量になってしまいますので、詳しくお知りになりたい方は、こちらの生産緑地と都市農地の相続対策準備まとめをご参照ください。

 

特に、市街化区域内(都市部や都市部近郊で周辺に住宅等が立ち並んでいる地域)の農地の場合、詳しく調査する必要があります。

なぜかと言いますと、市街化区域内の都市部農地を相続する場合、相続人(農地を継ぐ方)が農業経営される予定が無い場合にはかなり高額の相続税が課税されます。

しかも、高額な相続税を相続発生後10か月以内に現金で納税しなければなりません。

また、相続人が農業経営を継承される場合、終身営農(お亡くなりになるまで農業経営を継続する)義務と引き換えに相続税の納税を猶予する制度(納税猶予)の利用の有無も検討しなければなりません。

都市部農地を相続される場合には、相続人が農業経営を継承するか否かにかかわらず、事前に農地の全体像を把握することはもちろんのこと、その他にも事前の対策や準備が必要となります。

 

農地の相続には普段なじみのない農地法、生産緑地法、税法、民法、都市計画法等が関係してきますので、必ず農地の相続に詳しい専門家にご相談されることをお勧めしております。

京都、滋賀、大阪で都市部農地の相続のご相談がございましたら、農地相続コンサルタントの小林まで何なりとお気軽にお問い合わせください!

 

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